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翻訳論ブックガイド

一般書

翻訳概論

『翻訳論 ― 言葉は国境を越える』(広田紀子、上智大学出版、2007)

翻訳の入門書。
『翻訳の国の「アリス」―ルイス・キャロル翻訳史・翻訳論』(楠本君恵、未知谷、2001)

ルイス・キャロルの文芸翻訳の歴史を学んだ。

『翻訳文学のあゆみ―イソップからシェイクスピアまで』(新熊清、世界思想社、2008)
翻訳史。

『翻訳夜話』(村上春樹、柴田元幸、文藝春秋、2000)
翻訳とは何かを感覚的に知るのに適した本。

『翻訳の技法』(飛田茂雄、研究社、1997)
初歩的な翻訳指南書。

・p103 「翻訳者には厳しい自己抑制が必要だ」

『翻訳百年―外国文学と日本の近代』(原卓也・西永良成:編集、大修館書店、2000)
さまざまな言語における文芸翻訳について概略が書かれている。特にマイナー言語の翻訳者ほど、「ぜひとも翻訳したい」という気概が感じられた。

『作家の訳した翻訳文学』(井上健、丸善、1992)
翻訳文学作品を評論したもの。

『翻訳と日本の近代』(丸山眞男・加藤周一、岩波新書、1998)
対談形式で、近代翻訳史の流れを分析している。

翻訳技術

『英←→日 プロが教える基礎からの翻訳スキル』(光藤京子、田辺希久子、三修社、2008)
翻訳業界の話から、実際の翻訳の注意事項、実践演習まである、総合的な翻訳入門書。

『翻訳の基本』(宮脇孝雄、研究社出版、2000)
あまり体系的にまとまっているわけではなく、ケースバイケースで翻訳の注意事項などが書かれてある。著者の言葉のセンス、知識の広さにはビックリする。翻訳者の理想の姿だと思った。
・p1 「Translators, traitors.」

『英文翻訳術』(安西徹雄、ちくま学芸文庫、1995)
たいていの翻訳指南書では気ままに翻訳のポイントが集めてあるのだが、この本は文法ベースで体系的に翻訳のポイントをまとめてある。文法重視の翻訳。
・p12 「この本のアイディアは、この組織化に、伝統的な英文法の枠組みを利用してみようということなのである。」

『翻訳教室』(柴田元幸、新書館、2006)
具体的な翻訳技術を、演習のプロセスを見せながらまとめた本。体系的ではないが、ああだこうだと悩みながら翻訳を進めていくのが面白い。
p145 「翻訳とは科学的なものじゃない。どうしても主観が入る。それが入らないと、人間がやる作業じゃない。[・・・]個人の解釈が入らないことには、何も伝わってこないと思います。」
p160 「翻訳というのはネイティブに訊けばわかるというものではないんです。」

『翻訳のおきて』(河野一郎、DHC、1999)
翻訳の技術的な話から翻訳者の心構えまで幅広く書かれている。自分は英語も日本語もまだまだ分かっていないと感じるほど、著者の教養と知識にはびっくりした。

『映画翻訳入門』(アルク、2003)
有名な翻訳者による映像翻訳レッスンがある。

翻訳の応用理論

『法務通訳翻訳という仕事』(津田守・編集、日本通訳翻訳学会・監修、大阪大学出版会、2008)
通訳翻訳研究で注目されつつある、コミュニティ通訳・翻訳のうち、法務通訳翻訳に関するもの。
・p1 「翻訳については、古代からの実践及びその在り方を巡る論議が資料として残り、1950年代からは体系的な理論研究が始まりましたが、通訳学は萌芽的と言ってよい研究分野です。」
・p137 「我が国においては通訳や翻訳は実学と受け止められ、学問研究の対象として認識されるようになったのはまだ新しい。」

『翻訳語成立事情』(柳父章、岩波新書、1982)
幕末~明治期に生まれた翻訳語の成立過程。

翻訳の仕事

『翻訳家の仕事』(岩波書店編集部、岩波新書、2006)
37人の翻訳者が翻訳について語ったエッセー本。
p171 「基本的には、あらゆる翻訳は『誤訳』であり、あらゆる誤解は『誤読』なのかもしれないと、思っています。」

『映画字幕は翻訳ではない』(清水俊二、戸田奈津子・編集、上野たま子・編集、早川書房、1992)
字幕翻訳についてのエッセー。

『翻訳のココロ』(鴻巣友季子、ポプラ文庫、2008)
翻訳者によるエッセー。
p68 「翻訳は拾いあげるだけでなく、捨てる作業でもある。」

『The Professional Translator 2009年 01月号 ~ 翻訳で起業し成功するノウハウ』(バベルプレス、2008)

『一秒四文字の決断―セリフから覗くフランス映画』(山崎剛太郎、春秋社、2003)

『あなたも翻訳家になれる!―エダヒロ式 [英語→日本語]力の 磨き方』(枝廣淳子、ダイヤモンド社、2009)
非常に実践的。

教科書

“Introducing Translation Studies: Theories and Applications, 2nd Edition”
(Jeremy Munday, Routledge, 2008)
翻訳書『翻訳学入門』(ジェレミー・マンデイ、みすず書房、2009)
翻訳論を学問的に包括してあり、教科書として最適。映像翻訳などの新分野についても詳しい。
○ もくじ
Chapter 1: Main issues of translation studies
Chapter 2: Translation theory before the twenties century
Chapter 3: Equivalence and equivalent effect
Chapter 4: Studying translation product and process
Chapter 5: Functional theories of translation
Chapter 6: Discourse and register analysis approaches
Chapter 7: Systems theories
Chapter 8: Cultural and ideological turns
Chapter 9: The role of the translator: visibility, ethics and sociology
Chapter 10: Philosophical theories of translation
Chapter 11: New directions from the new media
Chapter 12: Concluding remarks
・p7 “(1) intralinguistic criteria: semantic, lexical, grammatical and stylistic features;
(2) extralinguistic criteria: situation, subject field, time, place, receiver, sender and 'affective implications' (humour, irony, emotion, etc.).
・p119 ”[T]hey stress the link between the individual case study and the wide theoretical framework:“
It is not all absurd to study a single translated text or a single translator, but it is absurd to to disregard the fact that this translation or this translator has (positive or negative) connections with other translations and translators.”
・pp147-148 翻訳が原文を変形させてしまう点→(1)rationalization, (2)clarification, (3)expansion, (4)ennoblement, (5)qualitative impoverishment, (6)quantitative impoverishment, (7)the destruction of rhythms, (8)the destruction of underlying networks of signification, (9)the destruction of linguistic patternings, (10)the destruction of vernacular networks or their exoticization, (11)the destruction of expressions and idioms, (12)the effacement of the superimposition of languages
・p157 “Recently, the study of translators, rather than the texts and cultures,has become centrestage in translation studies research.”
・p10 翻訳論の分野一覧
・p12 翻訳論の応用分野一覧

『声、意味ではなく―わたしの翻訳論』(和田忠彦、平凡社、2004)
・pp11-12 「構造主義言語学が究明するのは言語の構造と性質だが、翻訳にとって問題となるのは、ことばからことばへの<置換>ではなく、テクストからテクストへの<置換>であって、ソシュールに倣えば、<ラング>ではなく<パロール>こそが考察の対象となるべきものだ。共時的な体系としての言語ではなく、通時的な事実としての動態力学こそが、と言い換えてもかまわない。だとすれば、純粋な言語学的アプローチは、翻訳理論の構築において、端から限界をかかえていたことになる。」
・p55 「翻訳、とくに詩の翻訳というものは、旅行にもっていくものをスーツケースにつめるようなものだ、とユルスナールは語る。あるものをつめ、いやいやこちらのほうが大切だと思いなおして、またつめかえる。そんな操作をくり返して、ほんとうに旅に必要なものだけを選びぬくのだ。だから、翻訳では表現できないものはかならずある。」

『翻訳の作法』(斉藤兆史、東京大学出版会、2007)
巻末の「日本の翻訳論の主要文献」が非常に役に立つ。
・p146 「テキスト変換がかならずしも原作の『劣化』を意味するものではないということです。」

『通訳学入門』(フランツ・ポェヒハッカー、鳥飼玖美子・監修、みすず書房、2008)
帯より「最新の通訳理論まで網羅した、初の本格的入門書。通訳に関する研究を幅広くとりあげ解説する。学ぶ人、教える人、そして、ぷろ翻訳者にとって最適の一冊。類のないリーダブルな構成の決定版。」
通訳を主とした本であるが、翻訳研究の観点から書かれている。
・p145 「音韻的作動記憶の時間的限界は約2びょうである」
・p99 通訳を理論化した概念図

『思想としての翻訳』(三ッ木道夫、白水社、2008)
帯より「翻訳大国ニッポンに贈る必読翻訳論集。詩人、作家、思想家、学者が、130年にわたって思いを巡らせてきた『翻訳』のあり方――」
・p243 「わが国で『翻訳論』という場合、いくつかの受け取り方が可能である。第一に英文翻訳を中心にした翻訳の技術論、第二に比較文学研究者による、欧米文化受容に焦点を当てた翻訳文化論、第三に(最近は目にしなくなったが)いわゆる誤訳・悪訳を告発する翻訳批評、第四には翻訳家自身の苦労話なり一家言なりを含む翻訳エッセイ。」
・p244 「翻訳を考える際にくりかえし語られる二項対立、原作の言語表現からの『自由』か、原作の表現形式への『忠実』かという問題」

『通訳者と戦後日米外交』(鳥飼玖美子、みすず書房、2007)
通訳学の「人」に焦点を当てたもの。通常、こういう本では、通訳者の小話やエッセー的なもので終わることが多いが、この本では学問的な分析がなされている。

『明治翻訳異聞』(秋山勇造、新読書社、2000)
翻訳史として明治期の翻訳事情について書かれている。

『翻訳の方法』(川本皓嗣・井上健:編集、東京大学出版会、1997 )
さまざまな視点で書かれているので、翻訳論を学ぶ上での導入としていいと思う。

『翻訳を学ぶ人のために』(安西徹雄・小林章夫・井上健 編、世界思想社、2005)
翻訳についてさまざまな角度から総合的にまとめてある。
p162 「現代口語文というのも実は基本的には翻訳でできている、ということである。そこでまず『文』の主語から考えると、日本語の主語というのは翻訳で作られた、ということになる。」

『日本思想という問題』(酒井直樹、岩波書店、2007)
翻訳よりも思想史的なものが中心。

『近代 日本語の思想―翻訳文体成立事情』(柳父章、法政大学出版局、2004)
近代日本語は翻訳によって作られた。
・p173 「理論的に言えば、翻訳文化は、原文化の一部分であり、もとの文化的意味の一部分しか伝えていない。しかし、いったん異文化の中に定着すると、移転した方の文化全体の一部として、それ自体で完全な文化的意味を持っているかのように扱われる。」

“Translation Studies”
(Susan Bassnett-McGuire, Routledge, 1991)
文芸翻訳を中心とした、翻訳論の基礎。
p16 Eugene Nidaによる非常に有名な翻訳モデル図。

translationreferences.txt · Last modified: 2020/10/08 09:56 by dokushonary